会長。私と恋のゲームをしてください。
「会長……」



目が潤んでくる。

体が熱くなると、瞳に涙が溜まるのか。

分からないけど。

分からないけど、体全身が熱を帯びているような気がする。



「その顔……。他のやつに見せるなよ」

「え、」



その顔って、私の顔だよね?

そんなにひどい顔していますか!?


反論しようと口を開きかけた私をさえぎる会長。



「可愛いとか……。ずりぃ」

「っ、」



本日2度目。

“可愛い”って言われた……。

私なんて地味なのに。

可愛いなんて私に似合わない言葉なのに。

会長の言葉でこんなにドキドキさせられて。



「会長のほうが、ずるい、ですよ……」



恥ずかしさを隠すように、会長の胸に顔を押し付ける。

もう、顔なんて見られない。

そう思っていると、ぎゅっと抱きしめられた。

会長の腕に力が入ったのが分かる。
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