会長。私と恋のゲームをしてください。
「あえて言う必要はないが、隠す必要もない」

「や、でも……」



私が言葉を濁していると、会長は大きなため息をついた。

なんか暗い雰囲気になってしまった。

私のせいで、会長に迷惑かけているのかな。

やっぱり、ここには居ないほうが……。



「やばっ! 遅刻しちゃう!」



夏樹ちゃんが勢いよく席を立つ。

時計を見れば、8時半。


そっか。

中学生って、高校生より登校時間が早いのか。



「行ってきまーすっ!」



鞄を持ったかと思えば、夏樹ちゃんは食器をそのままにして玄関を飛び出していった。

夏樹ちゃんのスピードに呆気にとられる私。


行ってらっしゃい、も言えなかったなぁ。


なんて考えていると。



「おい。聞いているのか?」

「え、あっ……」



会長と話している途中だったこと、すっかり忘れてしまっていた。


同居していることを隠すか隠さないかだよね。

やっぱり私は、会長に迷惑かけられないから隠していることがいいと思うんだけど。
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