会長。私と恋のゲームをしてください。
「行くぞ。遅刻する」



ぼーっとしている私を置いて、会長はリビングを出て行く。


いつの間に片付けが終わったの!?


私は急いで自分の部屋から鞄を持ってきて、玄関で靴を履いた。

会長の靴がない。

先に学校へ行ったのかな。


……そういえば、ここから学校までの通学路、分からないや。

昨日、夜も遅かったし、同居するとは思わなかったから、道覚えていない。


携帯で学校の位置を調べながら行くか。

そう思って、玄関の扉を開けると。



「遅い」



会長が門に寄りかかって立っていた。



「会長……」

「お前。学校までの道、分からないだろ」



まさにその通りで、さっきまで学校までの道のりについて考えていたので頷くしかなかった。



「それに、この家の鍵、持ってないだろ」

「あっ、」



そうだ。

私、高橋家の鍵を持っていないから、戸締りが出来ない。

考えが足りてない私の横を通り抜けて、会長は家の鍵を閉める。

ガチャリ、と鍵が閉まる音がした。
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