会長。私と恋のゲームをしてください。
「ちょっ。どこ行くんですかっ」



その質問に会長は何も答えることなく、生徒会室を出て行った。


手首を掴まれたまま、廊下を歩く。

歩く、というより、どこかへ連れて行かれている。


昼休みだから、廊下には生徒たちもいて。

私たちのことを驚いた顔で見ている。



「会長だ……」

「隣の子って、生徒会の地味子じゃね?」

「手、繋いでいるとか! ショックなんだけど!」



私たちを見る目は、決して温かいものではなかった。

やっぱり、会長が私と歩いているのは、会長のためにならない。


だって。



「地味子の隣を歩くなんて、ありえないよね」



……そうだよ。


私の隣を歩くってことは、会長が悪く言われるってことだ。

私が地味な見た目ってことだけで、会長の品格が下がってしまうなら、一緒に居ないほうがいい。


……泣きそうになる。


これが彩菜先輩とかだったら、『お似合いの2人』って言われるんだろうな。

そう考えてしまう自分が嫌で仕方ない。
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