会長。私と恋のゲームをしてください。
会長は人気のない空き教室の前で立ち止まった。

繋がっていない手でポケットから何かを取り出したかと思うと、それは鍵だった。

施錠されていた空き教室の鍵を簡単に開けてしまう。


まるで、ここが会長の秘密基地だと言っているような……。


ドアを開けた会長は、私の手を引っ張って教室の中に入っていく。

教室の中は、少しだけホコリくさかった。



「会長っ。勝手に入っていいんですか?」



使われていない空き教室。


施錠されていたってことは、使ってはいけない場所なんだよね?

なんだか悪いことをしているみたい。


そう思っていると。



「ここは生徒会の資料とかを保管している場所だ」



ってことはつまり。

私が知らなかっただけで、この教室は情報の倉庫ってこと?


生徒会には沢山の情報がある。

歴代の生徒会が残してくれた資料や、これから使いたい資料。

他の生徒にはまだ触れさせたくない資料など。

生徒会室は基本、鍵をかけていないから、情報を管理するには安全とは言えない……。

だから、ここに保管していたんだ。
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