『おばあちゃんの贈り物』-許嫁(いいなずけ)とか意味わかんない-
気持ちはどんどん離れてるのに、ガクガクする脚は、ちっとも前に進まない。
「あっ!」
まいてやろうと思って入った公園の、入口の敷石の段差に気づいたときには、もう転んでいた。
いったあああああい!
足音がゆっくり近づいてくる。
「春加……」
そんなやさしい声だしたって。
「ほら………」
そんなふうに、かかえおこしてくれたって。
「うっ…」
あたしの許しも得ないで、勝手に涙があふれだす。
「大丈夫。痛ない、痛ない。ほら、泣くな」
ゾンビの手が、あたしのスカートの埃をはらっている。
なんだか、いつかも同じことがあったような、なつかしい感触。
だけど――…
「不潔な手で…さわん…ない…で」
ゾンビの手がぴたっと止まる。
「きらわれたもんやな……」
あたしに横顔を見せて、はきだすみたいに小さく笑った。
「沙月を大阪に…誘った、の?」
ゾンビが首だけでふり向いた。
「泊まりの…旅行に…誘ったんで…しょ」
ゾンビがなにか言いそうに口をあけたから、
「いいの!」あわてて止めた。
「いい…の。あたしが口だすことじゃ…ないもんね。ごめん」
「春加っ」
ふみだした脚がズキッとした。
(どこか、ひねったんだ)
「春加!」
「お願いだからっ!」立ち止まる。
「お…願いだから、道がわからないなら、黙ってついてきて」
「あっ!」
まいてやろうと思って入った公園の、入口の敷石の段差に気づいたときには、もう転んでいた。
いったあああああい!
足音がゆっくり近づいてくる。
「春加……」
そんなやさしい声だしたって。
「ほら………」
そんなふうに、かかえおこしてくれたって。
「うっ…」
あたしの許しも得ないで、勝手に涙があふれだす。
「大丈夫。痛ない、痛ない。ほら、泣くな」
ゾンビの手が、あたしのスカートの埃をはらっている。
なんだか、いつかも同じことがあったような、なつかしい感触。
だけど――…
「不潔な手で…さわん…ない…で」
ゾンビの手がぴたっと止まる。
「きらわれたもんやな……」
あたしに横顔を見せて、はきだすみたいに小さく笑った。
「沙月を大阪に…誘った、の?」
ゾンビが首だけでふり向いた。
「泊まりの…旅行に…誘ったんで…しょ」
ゾンビがなにか言いそうに口をあけたから、
「いいの!」あわてて止めた。
「いい…の。あたしが口だすことじゃ…ないもんね。ごめん」
「春加っ」
ふみだした脚がズキッとした。
(どこか、ひねったんだ)
「春加!」
「お願いだからっ!」立ち止まる。
「お…願いだから、道がわからないなら、黙ってついてきて」