『おばあちゃんの贈り物』-許嫁(いいなずけ)とか意味わかんない-
「春加……!」
あたしの名前、呼ばないで。
「好きな子を、誘ったら…いかんのか?」
「望くんっ」
お願いだから……。
弁解しないで。説明しないで。
「男ならだれだって、好きな子を抱きしめたい思うんや。それが…不潔か」
それ以上…聞かせない…でよ。
「お願いだからっ!」
耳をふさいで。
痛む脚を引きずって、せいいっぱいの早足で公園を横切って進む。
「……いかん」
声といっしょに風が動いて。
「やっ…」
あたしの腕をゾンビがつかむ。
「や。望く…!」
くるん…と回ったあたしは、あっという間に抱きしめられていた、ゾンビの腕に。