『おばあちゃんの贈り物』-許嫁(いいなずけ)とか意味わかんない-
 ぐずぐずと行きたがらないお父さんを無理やり追い出してから、お母さんとふたりであたしの部屋から玄関に運び出した荷物。
「ぇと……」
 お父さんの黒い中型ピギーバッグと巨大なデパートの紙袋に困惑するゾンビに
「だいじょぶよね?」
 お母さんがにっこり笑う。
 予定の倍の量と重さの2泊3日・大阪経由岐阜行きの荷物。
 あたしとゾンビは、こっそりため息をついた。
 だって、増えたのは分家の伯母(おば)さんたちへのおみやげなんだもの。
  昨日の買い物中に気づいたけど、それってつまりお礼の一報が入る時間で、お母さんはあたしたちの行動を読むつもりなの。
 バレバレだよ。
 まぁ、いいけどね。


 東京駅までついてきたお母さんに改札口で手を振って。
「さすがに警戒されるなぁ。喜ぶべきか?」
 ゾンビが笑った。
 意味わかんない。
「おみやげの持ち逃げ?」
「…おま……」
 そこでゾンビが吹きだしたのは、もっと意味がわからないけど、ゾンビはあたしの頭をぐりぐりなでた。
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