『おばあちゃんの贈り物』-許嫁(いいなずけ)とか意味わかんない-
 だから――。
 おなじ女の子として、好きなひとと、もうひとつ先に進んじゃってもいい…って決意して来る沙月(さつき)のじゃまをするのは、ちょっと、ごめーん…と思うんだけど。
 ゾンビから、あっさりヴォーカルの永井さんにのりかえるなんて、ひどいじゃないの!
 しかも!
 それを黙ってたのよ、あの子は。
 今回は……おしおきデスッ!

「おっ。見ぃ! 永井が来た!」
 ほんとだ。
 ごきげんでエスカレーターを駆け上がってきて、グリーンマークの下で電光時計を見た。
「ひぇー。あの子、グリーンで来るんかい」
 うーん。
 いかにも沙月らしいじゃん。
「あーもう。そんなお嬢様を、あの野郎……」「許せん!」
 あはははは。
 聞いてるだけでおかしいや。
「なあ、春加(はるか)
 突然ゾンビが真面目な顔で、あたしを見た。
 なあに?
「女ってこんな、その、来るってことは、やっぱ、その気でくるんやろ?」
「ばっ…」
 そんなこと、あたしに聞くな。
 やっ…。
 ちょっと! お兄さんたち。
 なに、みんなで、ひとの顔を見てんのよう。
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