『おばあちゃんの贈り物』-許嫁(いいなずけ)とか意味わかんない-
「ほしたら、じゃまなんかして、うらまれんやろな、おれたち。ま、永井さんは怒るやろうけど、それでどうこういうわけやねえし」
 ひゃー、もう!
 みんなで、うんうん、うなづかないで。
「なんか…、あの子、こわそうやで、ちょっとイヤやな、おれ……」
「おれ…も」「実はわしも、ちょっと…」
 なんなのよう。
 いたずらする前にばれちゃったワンパク坊主じゃないのよ、みんな。
「あのねっ」
 お兄さんたちが、いっせいにあたしに注目。
「みんなが、うんと楽しませてくれれば……。沙月(さつき)はみんなのこと、きっと大好きなままだと思う」
 やっ、もう。
 そんなに真剣な顔でひとのこと見ないでぇ。
「――好き…でも。不安だから」
(…わかって、る?)
「きらわれずに、そう…ならずに…すむなら……」
 あたしは、あなたに言ってるのよ、(のぞみ)くん。
「今はただ……うん、きっと怒ると思うけど。ほっとするんじゃ…ないのかな?」
 
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