『おばあちゃんの贈り物』-許嫁(いいなずけ)とか意味わかんない-
いったいリモート恋愛で、どうしたらそんなに情報を集められるのか。
そこだけは教えてほしいくらいだ。
実際に、ゾンビが沙月とやりとりしているのなんて見たり聞いたりしたくないから、絶対に! 1階には下りないけどね。
うぅうーん。
「だって…この曲は……きらい、なんだ…もん」
楽譜をはねのけたのは6歳のあたし。
ふとんをはねのけたのは16歳のあたしだ。
「…ゃだ」
目がさめたのは、目覚まし時計が鳴ったからじゃない。
ベッドからとびだして、お台所に直行。
「お母さん!」
「あら、おはよう」
お味噌汁の味見をしながら、お母さんがのんびり振り向いた。
「なんだ。早いね」
お父さんはテーブルの上に広げた新聞から、目もあげない。
朝6時。
これがいつものふたりなんだろうけど。
あたしの時計が鳴るまでには、まだ20分もあったのに。
「なんなの? この音は」
下を指さして、はだしの足で、リノリウムの床をどすどすキック。
「すてきな曲よねぇ」
ちがぁーう!
「こんな朝っぱらから! 狂ったんじゃないの? あいつ」
「なに言ってるの。このごろ望さん、お勉強もお仕事も忙しいらしくて、全然ピアノが弾けないから、朝すこし鳴らしてもかまいませんか? って。ゆうべ言ってたじゃないの」
仕事?
バンドが?
そりゃ、マネージャーさんもいて、新譜CDをポンと他人のために買えるくらいのお金はあるみたいだけど。
あたしにとってあいつは、ただの、遊びほうけている大学生だ。
そこだけは教えてほしいくらいだ。
実際に、ゾンビが沙月とやりとりしているのなんて見たり聞いたりしたくないから、絶対に! 1階には下りないけどね。
うぅうーん。
「だって…この曲は……きらい、なんだ…もん」
楽譜をはねのけたのは6歳のあたし。
ふとんをはねのけたのは16歳のあたしだ。
「…ゃだ」
目がさめたのは、目覚まし時計が鳴ったからじゃない。
ベッドからとびだして、お台所に直行。
「お母さん!」
「あら、おはよう」
お味噌汁の味見をしながら、お母さんがのんびり振り向いた。
「なんだ。早いね」
お父さんはテーブルの上に広げた新聞から、目もあげない。
朝6時。
これがいつものふたりなんだろうけど。
あたしの時計が鳴るまでには、まだ20分もあったのに。
「なんなの? この音は」
下を指さして、はだしの足で、リノリウムの床をどすどすキック。
「すてきな曲よねぇ」
ちがぁーう!
「こんな朝っぱらから! 狂ったんじゃないの? あいつ」
「なに言ってるの。このごろ望さん、お勉強もお仕事も忙しいらしくて、全然ピアノが弾けないから、朝すこし鳴らしてもかまいませんか? って。ゆうべ言ってたじゃないの」
仕事?
バンドが?
そりゃ、マネージャーさんもいて、新譜CDをポンと他人のために買えるくらいのお金はあるみたいだけど。
あたしにとってあいつは、ただの、遊びほうけている大学生だ。