幸せの鐘
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「バカ杏!
ずっと心配してたんだからね!」
「麻友ごめんね?」
休みが開けて学校に行くと
麻友が般若みたいな顔で
私に突進してきた。
誰にも聞かれたくなかったから
屋上に行って今までの事を全部話した。
「杏には悪いけど、杏の親本当最低。
でも、ヤクザって危ない仕事とか
してるんじゃないの?
世界トップの組みならなおさら。」
「どんな仕事をしてるのか知らないの。
夜のお店を経営してることは
知ってるけど仕事はそれだけじゃないって事は
わかってるんだけど・・・」
テレビで見る任侠映画みたいな
危ない事してるかもしれない・・・
でも聞く勇気なんてないし
付き合ってるわけでもないのに
聞くのは図々しいよね。
「で?
杏はその若頭の事どう思ってるの?」
「蒼汰君といるとドキドキするし
昔の女性関係の事を聞いた時は
すごいモヤモヤした。
これって好きって事なのかな?」
そういうと麻友はニヤニヤ笑い始めた。
「それは完全に恋だね。」
「でも、私どうしたらいいかわからない‥
恋愛なんてしてこなかったし‥」
「どうしたらいいのかわからない時は
流れに身を任せるのもいいんじゃない?」
流れに身を任せる‥
分からないなら下手なことしないで
その時が来たらって事だよね。