幸せの鐘
「私見ちゃったの・・
蒼汰くんが女の人と腕を組んで歩いてる所」
「・・・・そっか。
見たんならしょうがないな。
なら、別れてくれ。」
頭を殴られたような衝撃・・
「本気で言ってる?」
「あぁ。」
なんでだろ。
涙が止まった。
私達の関係は【別れてくれ】の一言で
終わる薄っぺらい関係だったんだね。
私は何も言わずに立ち上がって
自分の部屋に入って少ない荷物を持って
リビングに戻った。
「どこ行くんだ?」
「別れるならもうここにはいたくない。」
「おい、杏。待てって。」
「自分で言ったんだよ!?
別れてくれって・・
蒼汰くん今までありがとう。」
ここを出て行く宛なんてない。
新崎組に行く勇気もないし・・
「麻友、今から行っていい?」
『全然いいけどどうした?』
「着いたら話すよ・・」
麻友の家に向かってる間止まってた
涙が止まらなくなった。
ピンポーン
「はーい!
えっ!?杏なんで泣いてるの!?」
麻友の部屋のベッドに座った。
「別れてくれって言われた・・・」
「蒼汰さんに!?
何かの間違いじゃないの?」
「今日スーパーに買い物に行ったんだけど
その帰りに蒼汰くんが知らない女の人と
腕を組んで歩いてたの・・
しかも拒んだりしてなかった・・
帰ってきて知らない香水の匂いがして・・」
麻友はありえないって顔をしてる。
だけど、女の人と歩いてたって事は
本人も認めた事実。
勘違いで終わらせる次元じゃない。
「何か理由があるのかもしれないよ?」
麻友にそう言われて悠馬君に言われた
言葉を思い出した。
【何があっても蒼汰を信じてあげて】
もしかして悠馬君が言ってた事って
この事だったの?
もう頭がごちゃごちゃ・・
「待って、和希から電話だ・・」