幸せの鐘
「綺麗な顔が台無しだね。」
今の自分の顔が腫れ上がってるってことは
自分でも分かる
目が腫れて視界がはっきりしないし
口の中が切れて血の味がする
「災難だね。
新崎と結婚したお陰で。」
「一ノ瀬くんはお兄さんが間違ってるって
思わないの?」
「思わないわけじゃないよ。
兄貴の言い分も分かるし
兄貴を追い出した新崎側の言い分も
俺は分かる。
でも、たった一人の兄貴だから
味方でいてやりたい。」
悲しそうに笑ってる一ノ瀬くんは
私の手足を結んでいたロープを外した。
「俺自身、あんたを人質にするのは
反対だった。
こういうのは弱っちぃ卑怯者がすること。
兄貴は新崎と同等に強いはずなんだ。」
「一ノ瀬くんも、その気持ちお兄さんに
伝えなよ。
間違ってることは間違ってる
正しいことは正しい。
今のままだとお兄さんは。。。」
ガシャーーーーん!!
ガラスが割れる音と破壊音がした。
「来たな。」
ドアから勢いよく若頭が入ってきて
ロープが外れてる私を見て
一ノ瀬くんを睨んだ。
「お前何やってんだよ。」
「兄貴、もう終わりにしよう。」
「何言ってんだよ?
お前も俺を裏切るのか?」