無口な彼の熾烈な想い

「良ければ鈴の勤めるひらのペットクリックについてもフラケンのＳＮＳ上で紹介したい。動物で関連付けて安心で安全な情報を提供したいんだ」

「そう言ってもらえて嬉しい。兄夫婦の意見を聞いてから返事をするわね」

動物園イベントと新商品御披露目イベントで経験値を積み上げ、鈴は無事に絢斗の好感度？上げに成功した。

さらに、彼の育った環境の過酷さと、感じていたであろう理不尽さを思うにつけ、鈴が男性全般に感じていた不信感を絢斗に対して抱くことはなくなった。

゛ひらのペットクリックのことまで気遣ってくれるなんて、絢斗さんは天使か何かなの？゛

浮かれ頭の鈴は出会った頃に感じていた、

゛こんなデレなしのツンツンイケメンあり得ない゛

という思いは横に置いておいて、目の前にぶら下げられたニンジン（美味しい料理）に涎を垂らす馬のようにお調子者になり下がっていた。

それは、料理と一緒に提供された甘めのスパークリングワインをガブ飲みし過ぎたせいとも言える。

絢斗は、そんな鈴の陽気な様子に安堵をしながらも、今ならすんなりと気がかりなことを聞けるのではないかと、ハンドルを握る手に力を込めた。