無口な彼の熾烈な想い
カチリ、とドライヤーのスイッチを切る音がした。
「鈴、好きだ」
と、同時に、自分に背中側から覆い被さる絢斗がまさかの告白をしてきた。
「えっ?」
思わず振り返ろうとしたが、絢斗の力強い抱擁にそれもかなわない。
「俺は自分が嫌いだった。だから自分以外の誰からも認められないと信じこんで殻に閉じ籠ってきた。その理由は鈴が知っての通りだが、鈴だけには初めから心が動いた。鈴にだけは俺のことをわかって欲しいと心から思ったんだ」
鈴の何がそんなに絢斗の心に響いたのかはわからない。
だが、絢斗がこのラッキースケベイベント発生的な状況を利用して、思い付きでこんなことを言い出したのではないことだけはわかっていた。
「鈴が好きだ。俺の本能がそう言っている。鈴の心に入り込むのは俺では役不足かな?」
役不足なんてとんでもない、鈴の本能も絢斗がいいと言っている。
鈴は回された絢斗の腕をギュッと掴むと、
「いつもは無表情で、何考えているかわからない作り笑顔が怖いって言われてる私ですよ?それでもいいんですか?」
「無表情はお互い様だ。作り笑顔どころか俺は無口で無愛想とも言われている。似た者同士、慰め合わないか?」
「ふふ、変な口説き文句」
「生憎口説き慣れてないもんでね」
「それを聞いて安心した」
「俺以外には口説かれるなよ?」
無表情といわれ続けた絢斗の顔に笑顔が浮かぶ。
この笑顔を独占できるだけでも鈴は幸せだと心から思った。
「私も絢斗さんが好きだよ」
「ずっとそばにいたい」
そばにいてほしいではなく、そばにいたいという言葉が嬉しかった。
「俺のものにしてもいいか?」
背中から抱き締められた状態で二人の唇が重なる。
ゆっくりとその余韻を楽しんだあと、鈴は小さく頷いて答えた。
絢斗は鈴から腕を離すと、鈴の正面に回りゆっくりと抱き上げた。
夢のお姫様抱っこだ。
鈴はうっとりと絢斗を見上げながらも、ふと我にかえって首を傾げる。
やはり初めに立てたフラグは回収されようとしているし、間違えたつもりはないが、選択肢のミスはお約束通りに鈴の貞操の危機を呼び寄せた。
゛それでも、まあ、いいか゛
これまで大事に貞操を守ってきたわけでもない。
結果として初めて愛しいと思ったたった一人の男性と結ばれるのだ。
思い思われる確率なんて数パーセント。
そんな二人が出会って結ばれる確率なんてもっと低確率のはずだから、抗わずに運命に身を任せてみよう、と鈴は大胆にも覚悟を決めていた。
そんな鈴は、内心ドキドキで、この期に及んで鈴に断られるのではないかとビクビクしている絢斗の思いなど露知らず、うっとりと絢斗の胸に顔を埋めて一人ニヤケるのだった。
「鈴、好きだ」
と、同時に、自分に背中側から覆い被さる絢斗がまさかの告白をしてきた。
「えっ?」
思わず振り返ろうとしたが、絢斗の力強い抱擁にそれもかなわない。
「俺は自分が嫌いだった。だから自分以外の誰からも認められないと信じこんで殻に閉じ籠ってきた。その理由は鈴が知っての通りだが、鈴だけには初めから心が動いた。鈴にだけは俺のことをわかって欲しいと心から思ったんだ」
鈴の何がそんなに絢斗の心に響いたのかはわからない。
だが、絢斗がこのラッキースケベイベント発生的な状況を利用して、思い付きでこんなことを言い出したのではないことだけはわかっていた。
「鈴が好きだ。俺の本能がそう言っている。鈴の心に入り込むのは俺では役不足かな?」
役不足なんてとんでもない、鈴の本能も絢斗がいいと言っている。
鈴は回された絢斗の腕をギュッと掴むと、
「いつもは無表情で、何考えているかわからない作り笑顔が怖いって言われてる私ですよ?それでもいいんですか?」
「無表情はお互い様だ。作り笑顔どころか俺は無口で無愛想とも言われている。似た者同士、慰め合わないか?」
「ふふ、変な口説き文句」
「生憎口説き慣れてないもんでね」
「それを聞いて安心した」
「俺以外には口説かれるなよ?」
無表情といわれ続けた絢斗の顔に笑顔が浮かぶ。
この笑顔を独占できるだけでも鈴は幸せだと心から思った。
「私も絢斗さんが好きだよ」
「ずっとそばにいたい」
そばにいてほしいではなく、そばにいたいという言葉が嬉しかった。
「俺のものにしてもいいか?」
背中から抱き締められた状態で二人の唇が重なる。
ゆっくりとその余韻を楽しんだあと、鈴は小さく頷いて答えた。
絢斗は鈴から腕を離すと、鈴の正面に回りゆっくりと抱き上げた。
夢のお姫様抱っこだ。
鈴はうっとりと絢斗を見上げながらも、ふと我にかえって首を傾げる。
やはり初めに立てたフラグは回収されようとしているし、間違えたつもりはないが、選択肢のミスはお約束通りに鈴の貞操の危機を呼び寄せた。
゛それでも、まあ、いいか゛
これまで大事に貞操を守ってきたわけでもない。
結果として初めて愛しいと思ったたった一人の男性と結ばれるのだ。
思い思われる確率なんて数パーセント。
そんな二人が出会って結ばれる確率なんてもっと低確率のはずだから、抗わずに運命に身を任せてみよう、と鈴は大胆にも覚悟を決めていた。
そんな鈴は、内心ドキドキで、この期に及んで鈴に断られるのではないかとビクビクしている絢斗の思いなど露知らず、うっとりと絢斗の胸に顔を埋めて一人ニヤケるのだった。