無口な彼の熾烈な想い
「卵詰まりですね」

「・・・!」

鈴は出来る限りの笑顔で診断名を伝えたのに、この3次元イケメンの異様な驚き様はなんだろう?

と違和感を感じた。

「卵を産んだのは初めてですか?メスのインコには良くある話ですけれど、ご存知なかったのですかね」

最近のペットブームで知識もなく簡単にペットを飼う者が増えて困る。

おそらくこの3次元イケメンも、手がかからないからと簡単にインコの飼育に踏み切ったのだろう。

「オス・・・だと聞いていた」

「雛の頃は性別が見分けづらいですからね」

「・・・」

すずは、押し黙る3次元イケメンに同情したがそんな事情はこのインコには関係ないことだ。

飼い始めたのなら性別に関係なく最後まで面倒をみるのが飼い主の責任だろう。

「この子は飼い始めて半年ぐらいですか?」

「ああ、たぶん」

たぶんとはずいぶん他人事な言い草だ。

「質問を変えます。購・入・さ・れ・たのはいつですか?」

そう尋ねながらも、鈴は、左手にセキセイインコをつかみ、腹側を手前に向けると慣れた手つきで肛門らしき部分を綿棒で刺激し始めた。


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