無口な彼の熾烈な想い
゛応答せよ、応答せよ゛

デジャ・ビュか?

はたまた断罪の無限ループなのか?

寝ぼけ眼の鈴は、昨日と全く同じ状況での目覚めに、混乱しながらもスマホを手に取った。

着信は見知らぬ番号。

無視して良し、と一度はスルーしたが、あまりにしつこいので、心当たりは・・・と考えて時計を見る。

「8時過ぎてる!」

今日は絢斗との動物園イベントの日。

おそらくかなえとの電話中に寝落ちして、目覚ましをセットし忘れ寝坊した。

ということは、この見知らぬ番号の相手に思い当たる可能性は・・・。

「もしもし・・・寝過ごしました。ごめんなさい」

『ああ、無事なら良かった・・・』

声質とリアクションから通話の相手は絢斗で間違いなさそう。

てっきり怒られるものとばかり思っていた鈴は、あべこべ心配されてしまい泣きそうになった。

心の広いイケメンぶりを寝起きから見せつけられて胸が痛い。

゛こんなん惚れてまうやろ゛的な再登場。

これがゲームなら、間違いなく絢斗ルートの一択だ。

「下で待ってる。ゆっくり準備して来い」

俺様にデレが混じってますよ?

もう、いったい用語の定義のどれが正解なのかわからなくなってきました。

こんなときは、色々難しく考えない方がいい。

いや、考えている暇はないのだ。

新たに、遅刻というペナルティを課せられた鈴は果たして゛お礼のお礼゛の無限のループから脱出なるか?

新たな試練に、冒険者ですら先が読めない現状。

物語はまだまだ、序章から抜け出してすらないのである。
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