無口な彼の熾烈な想い
ルイは絢斗よりも8歳年上の日本人とフランス人のミックス。

生まれも育ちも生粋の日本人なのに、その外見が金髪に青い瞳であったことから、小さい頃からからかわれていたという。

だが、そんな逆風をもろともせず、フランス料理の巨匠として名を馳せるルイは堂々としていてカッコ良かった。

絢斗の過去を知らない者ばかりのいる専門学校は居心地が良かった。

絢斗を弟のように可愛がってくれるルイの存在も絢斗を癒してくれた。

だが、ライバルを蹴落とそうと必死になる同級生や、絢斗のことをお飾りの金づるにしようと目論む女性達からのアプローチに、絢斗が心を開くことはなかった。

もちろん真面目な同級生も、真摯に絢斗に歩み寄ろうとしてくる女性もいた。

しかし、理屈ではなく、絢斗の心が彼らの侵入を拒むのだ。

そっとしておいてほしい、と。
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