パリへ追いかけてまで

3人で、夕飯を食べたあと、健太郎と亮は書斎へ

「亮、話しって何だ？」

「うん。…　父さん！　
俺、春から佐藤建築工業には入社しません！
本当に申し訳ない気持ちはあるんだけど、
それでも…どうしても俺さ〜
パリの斉藤　拓海さんの事務所で働きたくて、
パリまで押しかけて行って、
無理矢理面接してもらったんだ。

採用試験の課題の製図も通って採用合格して、働かせてもらえる事になったんだ！
10月1日から、パリの斉藤さんの事務所に出勤する事になった。
パリでのアパルトマンも決めて来た。
俺は、どうしても世界の建築家や設計士たちと戦いたいんだ！
佐藤建築工業の設計室にも素晴らしい先輩は、たくさんいると思う。　
給料だってうちの会社の方が多いよ…
でも！　
俺は、斉藤　拓海さんから仕事を学びたいんだ！

父さん、本当にゴメン。
小さな頃から、父さんの会社に入って、父さんの役に立ちたいと思ってた…
でも…
俺の心の底から湧いてくるのは、
斉藤拓海さんのような…　
建築家になりたいんだ…
日本ではなく、ヨーロッパで　修行がしたい。

俺の人生を、自分自身の力で、
思いっ切り走らせてもらえないだろうか？」