パリへ追いかけてまで
健太郎は、亮の話しを黙って全部聞いた。

それから目をつぶって、腕組みをした後、
顔を下に向けて考えていた…
目を開けて、天井を見つめてまだ考えていた。

***

健太郎は、今まで何も反抗してこなかった亮の本心を聞いて自分からパリまで行き、
斉藤拓海さんに面接してもらう行動をとった事にびっくりした。
亮には、設計士としての才能は感じていた。

うちの会社で安全に育てるつもりでいたが、どうもそれは、お門違いだったようだ。
亮は、小さな頃から我を通すような事はなく流されている様な子供だった。
その亮が、ここまで決意しているんだ。

俺の方が、子離れして無かったって事だなぁ…
ハハハ。 親なら見守るか!

「亮… お前の決意は、本気だとわかった。
お前が、納得するまで斉藤拓海さんの事務所で頑張って来い! 
そして一流の建築家を目指せ!
うちの会社の事は、気にすんな。
樹も昴もいる。 
お前の人生を、思いっ切り走って来い!

でもな、亮。 
俺たち家族はお前の味方だ。
困った時は、いつでも帰ってきても良いし連絡しろよ!  
亮の希望が叶って良かったな。おめでとう。」

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