パリへ追いかけてまで
翌日、健太郎、樹、昴は、寿司屋の個室で会っていた。

「父さん、プライベートな話しって どういう話?」と長男の樹。

「家でも 良くない?」と次男の昴。

「家だと、ちょっとなぁ〜 亮の事だ。」

「アイツ、今月2回も旅行行ってたよな!
学生さんは、気楽なモンだよな!」

「そう言えば最近、亮の顔見てないわ俺。
旅行行ってたんだ〜。」

「結論から言う。 
亮は、うちの会社には入らない事になった。
パリの斉藤拓海さんの事務所に就職する事になったそうだ。」

「は? パリ? 斉藤 拓海さんって…
確か、若手の建築家の中で一番有名な 
斉藤 拓海さん?」

「そうだ。 
どうしても、斉藤拓海さんから学びたいとパリまで押しかけて、
面接して採用課題もパスしたそうだ。
10月から働くらしいし、アパルトマンも決めてきたらしいぞ! ハハハ。」

「父さん。 もしかして、亮の事許したの?」と昴が質問した。

「父さん、アイツのそんな甘い考えを許したのかよ」と樹も詰めよる。

「あぁ、許した。
アイツは、今まで反抗もせずにいただろ?
会社にも家族の役に立ちたいと思ってたそうだ。
しかし、どうしても、
ヨーロッパの建築家たちと戦いたいらしい。」

「でも! うちの会社にだっていい設計士が
いるんだから、会社で学んでからヨーロッパへ
行ったっていいんじゃない?」

「あぁ、でも亮はな、斉藤 拓海さんから
学びたいそうだ。
俺は、亮がパリで働く事をお前たちにも応援して
やって欲しいと思ってる。」

「まぁな〜 弟が、真剣に将来を考えた事だからな〜
でもさ、大丈夫なのかなぁ?」

「そうだよ。アイツは、設計のコンクールとか
出場してないしさ〜。」

「亮の話しだと、斉藤拓海さんからの採用課題を
パスしたらしいから、大丈夫だったんだろ?」

「わかった。昴も、いいな?」

「あぁ。多分、亮は、日本へ戻らないかもな…」

「あぁ、向こうで骨を埋める気じゃあなきゃ
ヨーロッパの建築家たちとは、渡り合えないだろ。」
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