パリへ追いかけてまで
萌
私は、佐藤さんのお陰で、パリのレストランで春から、働かせていただける事になった。
お父さんが亡くなってから、お母さんと2人で暮らしている。
12月上旬、意を決して、お母さんにパリの話しを切り出した。
「お母さん。ちょっと大事な話しがあるんだけど…」
「うん? 何?」
「あのね、お母さんも知ってるように、
私は、パリのレストランで見習いコックから修行したいって言ってたでしょう?」
「うん。」
「秋からお友達になった 佐藤 亮さんが、
ほら、日曜日にフランス語を教えてもらってる…
その佐藤さんが、たまたま先日パリで知り合った
オーナーシェフの岡田 良介さんに私の話をしたら、
そのオーナーさんがうちのお父さんを知ってて、
それなら、うちで預かるって言って下さってね、
春からパリで働かせてくれる事になったんだけど…」