パリへ追いかけてまで
「佐藤さん。本当にありがとうございました。
私がパリに行けるのも、佐藤さんのおかげです!
4月から、ル トレッフルで頑張ります!」


「うん。俺も9/10頃 パリへ行くからさ!
ねぇ、……萌ちゃん、抱きしめてもいい?」

「え! 抱きしめる〜? え、え〜!」
ぎゅー  と 亮は、萌を抱きしめた。

萌の肩に顔を埋めて、萌だけに聞こえる声で、
「好きだよ。 もえ…」
と言って、萌から離れた。

萌は、真っ赤になり、下を向いた。


亮も恥ずかしくなり、
「じゃあ、萌ちゃん! 気をつけてね!
また、9月に会おう!メールもするし、電話もする。
引っ越しの荷解きは、手伝ってよ! 
じゃあ、俺、行くわ。
お母さんによろしく伝えてね! 
じゃあ!また!」
と言って、クルリと萌に背を向け足早に歩いて行ってしまった。

萌は、さっき亮が言った
"すきだよ もえ"
が、繰り返し何度も何度も 頭の中でリピートしていた。


お母さんが戻って来て
「あら? 佐藤くんは?」

「うん? 帰った……」

母の愛子は、萌の様子から、
佐藤くんから告白でもされたかな?
彼なら、萌を任せても大丈夫な男の子だわ。
ふふふ と、微笑んでいた。

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