パリへ追いかけてまで

「拓海〜 そろそろ前菜持ってきても良いかなぁ?」

「ハイ。お願いします。ワインもグラスで2人分お願いします。」

「了解! じゃあ、少し待っててな。」

「あの〜、こちらのレストランには、良くいらっしゃるんですか? 
あの方が、オーナーさんですか?」

「そう。岡田 良介さんって言って、このレストランのオーナーシェフなんだ。
今は、一番弟子のフィリップに厨房の事は任せてるみたいだけど、
良介さんもたまに厨房に入って、 日本に帰れない俺に日本食を作ってくれるから、ついついココに来る事が増えたかな?」

「やはり、日本へはずっと帰ってないんですか?」

「うん。パリに事務所構えて3年だけど、正月だけは、帰ってるかな? 
こっちは、正月よりクリスマスや10月の日本でいうお盆に、家族が集まるからな〜 
ちょっと、日本の感覚とキリスト教圏とでは違うなぁ〜」

「でも、日本人のオーナーシェフが、いて、日本語も話せると、何か安心しますね!」

「あぁ。良介さんは、高校卒業してからパリに住んでるだって。 
もう、32年経つらしいよ」

「32年… スゴイなぁ…」

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