クズ男の独占欲に溺れて。
「なっ、ちょ……と」
「顔は赤いけど、まだ余裕あるね?意識しないなんて言っちゃってよかった?いまならまだ間に合うけど?」

「するわけない」
「ふーん」



顎ではなく、後頭部に手を添えて、強引に唇を重ねてきた。

どう足掻いても、抗ってもきっと敵わないとわかっていたから何もしなかったのにヒートアップして、浅く、浅く、だったのに急に深く噛みつくようなキスになって、私の呼吸を奪っていく。




「……んん……っ」

息が苦しい私と裏腹に余裕のある顔をしながら、「口、開けろ」と言う。誰が開けるもんか、と思っているのに無理やり突っ込まれた舌が唇を破って侵入する。


「んっ」

悲しくないのに生理的に滲んでくる涙と、ハアハアと息を吐く私を見てこいつはわらう。



「その顔、エロ」
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