ライオン少女は宇宙系男子を落としたい
──翌日の昼休み。



「失礼しまーす」



保健室に向かい、毛布にくるまってソファーに座る詩恩の元に駆け寄る。



「詩恩! もう具合は大丈夫?」

「うん。熱も下がったし。ここにいるって健に聞いたの?」

「うん!」



隣に座ろうとしたけれど、星くんが言っていた言葉を思い出して少し離れて座った。



「なんでそんな離れてんの」

「星くんが、『詩恩は人とベタベタするのが苦手』って……ごめんね」

「……まぁ、確かにベタベタするのは苦手だけど、この前あんなに偽乳押しつけてきて、今更距離置かれたら逆に落ち着かねーよ」



「隣、来れば」と言われ、そっと隣に座った。



「偽乳って言うのやめてよ」

「ごめんごめん。健から俺のこと何か聞いた?」

「……ほぼひとり暮らししてるって聞いたよ」



詩恩はあまり自分のことを話さない上、感情をあまり表に出さない。

たまに笑うこともあるけれど、基本無表情だ。



「もう慣れてるし。そんな暗い顔すんなよ」

「寂しくないの? あの時、お兄さんの夢見てたんじゃ……」

「別に……家族の夢はよく見るし。叫んだのも、歌に耐えきれなかっただけで……」
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