ライオン少女は宇宙系男子を落としたい
「シオンくん……?」


一歩ずつ距離を縮め、彼が1人になったタイミングで声をかけた。

名字で呼ぼうとしたんだけど、当時の記憶が甦ってきて、自然と下の名前で呼んじゃった。



「……ん?」



振り向いた彼と顔を合わせる。

写真と比べたら、幼さは抜けてだいぶ大人っぽくなってはいたけれど、瓜二つだ。


本当に、本当にあのシオンくんだ……!



「久しぶり……! 同じ高校だったんだね! 元気だった?」



再会できた喜びを隠せず、隣に座る。


中学デビューに成功してから、ずっとお礼を言いたかった。

あの時励ましてくれてありがとう。
おかげで友達もできて、今、すごく楽しいよって。


謝りに来たことも忘れて、長年温めていた思いを伝えたのだけど……。



「…………どちら様ですか?」



ついさっきの柔らかな笑顔とはうって変わった、突き放すような声のトーン。

向けられたその眼差しは、以前会った時よりも遥かに冷たかった。



「えっ、あの……こないだ海先生と一緒にいた北松です」



あ、あれ……? もしかして人違いだった?
でも、さっきの笑った顔、昔のシオンくんまんまだったし……。

私の記憶違いだったかな⁉
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