ライオン少女は宇宙系男子を落としたい
「優しくゆっくり話しても、すぐ遮られて聞いてもらえないんだよ。あれでもだいぶ落ち着いたほうで、昔は会話のキャッチボールが全然できてなかった」



記憶を辿っていると、再び溜め息が聞こえた。


一方的にボールを投げつけられていたわけか。

リアルに想像したらめっちゃ痛そう。
そして可哀想……。



「詩恩も控えめな頃があったんだね」

「当たり前だ。生まれつき腹黒だったわけじゃねーよ」

「いつから冷たく当たるようになったの?」

「反抗期入ってからだから……中1ぐらいかな」



なるほど。
私や星くんに冷たく当たるのは、彩葉さんと同じ押しが強いタイプで、相手のペースに呑まれたことがあったからなのね。



「それを最初に言ってくれれば良かったのに!」

「ごめん。あまり公にできなかったんだ」



あぁそっか、芸能人だもんね。

それにこの学校、情報がよく飛び交う上に噂が回るのも早いし。
うっかり漏れたら大事になるから言い出せないか。



「言葉はキツいけど心は優しいんだね」

「……女装が平気になったことと、星や宇宙の魅力を教えてくれたことには感謝してるから、迷惑かけないようにしてるだけ。別に優しくねーよ」
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