ライオン少女は宇宙系男子を落としたい
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「楽しかった~! オリオン座って大三角形にも大六角形にも入ってるんだね! すごいね!」



上映終了後、近くのカフェに寄って感想を述べ合った。

5年ぶりにまた星座ブームが来るかも。



「そんなに楽しかったんなら、春休みも行く?」

「いいの⁉」

「うん。多分かみのけ座も見られるよ」

「行く行く~!」



よっしゃー! 春休みもデート決定だーっ!

ツンデレデレデレ作戦が効いているようです!


ありがとうお星様! ありがとう宇宙様!







「ねぇ、もうちょっと一緒にいようよ」

「ダメ。今の時期はすぐ暗くなるから早く帰って」

「はーい……」



現在、駅で詩恩の服の袖を掴んで、もう少し一緒にいたいとお願いし、バッサリと断られたところ。

仕方ない。暗くなったらまたパパが心配するし。
名残惜しいけど帰るか。



「じゃあね、しお……」



別れの挨拶を口にした瞬間、突然全身が優しい香りに包まれた。



「また学校でね」

「……うん」



最後に抱きしめてくるなんて聞いてないよ……。


照れているのか、それとも寒いだけなのだろうか。


ちょっぴり意地悪な笑みを浮かべた彼の頬は、ほんのり赤く染まっていた。



END
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