無気力系幼なじみと甘くて危険な恋愛実験


私は壱より勉強はできないけど、壱より分別はある。



幼なじみ = 特別な人


これは仕方ない。


だって親同士が特別に作り上げた関係が、幼なじみってやつだから。


私だって壱が大好きだし大切だし、もちろんかけがえない。



でも。



幼なじみ = 恋人


これが成立しないことくらい分かる。


だってこれからの人生は長くて、私たちはまだたったの17歳と18歳。


幼なじみ、という特別が通用するのは、せいぜい高校を卒業するまでのこと。



そこから先は、それぞれの人生。


大学に進んで仕事に就いて、大人になる。


そういう未来には、私の知らない壱の人生がある。


もちろん、壱の知らない私の人生も。



そこで私たちは、お互いが知ることのない人と出会って、いつかはきっと誰かと恋をする。




それを私は、知ってるし、分かってる。




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