無気力系幼なじみと甘くて危険な恋愛実験
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当たり前のように壱がお会計を済ませてくれると、私たちは中華料理屋を出た。
お礼を言ったら頷くだけで別になんにも言わない壱が、やっぱりなんか大人で。
ちぇ、と心のなかで思いつつ道路を歩きはじめたら、ぶおんとすごいスピードで前方から車が。
狭い道だから歩道もない。
道端に寄ろう、と思って私が動くより前に壱が、とん、と自分の身体を私の身体に寄せて、さりげなく庇うような体勢をとってくれる。
ちょっと密着した体勢から見上げると、涼しい顔で私を見下ろしている壱と目が合った。
わ、と思って咄嗟に目を少し下に逸らすと、壱の綺麗な首が目に飛びこんできてまた、わわわ。
こんなに綺麗な喉仏、あったっけ。
なめらかな白めの肌に浮かぶその骨がなんとなく艶めかしくて、もはや視線の行き場がない。
てかもう車行ったから離れてもらいたい、道端だし。
困ってもう一度壱の顔を見上げたら、ん?とちょっと優しい目で聞かれて、なんだそのけしからん視線は!