無気力系幼なじみと甘くて危険な恋愛実験
「よし壱これからどこ行く?!」
熱を吹き飛ばしたくて、声が大きくなってしまった。からかわれて多少は怒ってるというのもある。
壱は私の手をきゅっと握ったまま、無表情を少しだけ傾けて。
「どうしよ。仁乃行きたいとこないの?」
「ない!!」
お腹がいっぱいになったら帰るもんだとばかり思ってたし。
「あっそ」
呟いた壱の横顔を盗み見て、帰るでしょ?、そう心のなかで聞いたら。
「じゃー適当に、買いもの」
そう言われて、驚いて目を丸くしてしまう。
お腹がいっぱいなのに帰らない、だと…?
そして、はっと思い出す。
恋人繋ぎの衝撃で忘れてたけど、そういえばさっき「帰るかアホ」って一蹴されてたんだった。
デートという名の実験はまだ続くらしい。
すー、はー、平常心を取り戻すべく深呼吸して、私は壱の隣を歩いた。