無気力系幼なじみと甘くて危険な恋愛実験
『ね、声かけようよ』
大学生らしき色気ぷんぷんのお姉さま2人組が、壱に近寄った時。
「仁乃、そろそろ出てきたら」
壱が棚の影に隠れている私を振り返って言った。
瞬間、周囲の視線が私に集まって、一気に空気が白ける。
あはははすみませんね、せっかくのイケメンに連れがいて、しかも連れがこんなちんちくりんで。
おずおずと影から出てきて横に立つと、壱に一瞥くれられて。
「真面目に選んでんの」
非難される。
どうせなら一緒に選ぶよ、という話をしていたのをすっかり忘れて、壱観察にふけってしまっていた。
これはいかんと、じーと陳列されているピアスを見るけど、正直メンズ物は違いが分からなくて全部一緒に見える。
「…これは?」
「いいんじゃない」
「うーんこっちは?」
「うんいいんじゃない」
どれを選んでみても壱はそんな感じで、選びがいないし。
選んでる私をじっと見てるだけで、壱自体が全然ピアス見てないし。