無気力系幼なじみと甘くて危険な恋愛実験
そんなバカっぽい冷静さを欠いた瞬間的な疑問は、振り返った先に立っている女の人を認識したら、私の確固たる理性に吹き飛ばされて消えたけど。
「万里加さん」
抑揚のない声で彼女の名前を呼んだ壱の顔をそっと見上げる。
そこには相変わらず、読みとりやすい感情はない。
でもよくよく観察したら、なにかが読みとれてしまいそうで、なにかに気づいてしまいそうで、それが恐くてふい、と目を逸らして、かわりに目の前の彼女を観察することにした。
くるくるとパーマのかかったミルクティー色のショートヘアの下で、きらきら輝く猫目が私と壱を交互に見ている。
丸見えの両耳には、綺麗な赤いストーンの小ぶりなピアス。
袖がふんわりした柔らかそうなブラウスに、タイトなロングスカートというフェミニンなファッションが、ショートヘアと絶妙な甘辛バランスを演出していて…
どっからどう見ても美人でお洒落。
…これはいわゆる女子大生、だな、壱め。