無気力系幼なじみと甘くて危険な恋愛実験
「壱がお世話になっておりました」
「あははは!ずっとね、会ってみたいなあって思ってたんだよ仁乃ちゃんの話はよく聞いてたから」
「そうですかそれはそれは……。え、そうなの…?」
ちらり、壱を見上げると、軽く視線を投げられて、
「仁乃命だからね」
それだけ素っ気なく言われて、すぐに逸らされた。
壱の言葉と態度が呼応してないのは、いつものことだけど。
「…今はどこか別の場所でバイトとかされてるんですか?」
「うん、ここのモールの1階のカフェで。あ、もう行かなきゃなんだ…」
さっと華奢な手首に巻きついた華奢な腕時計を見て、JD万里加はまたきゅっと笑って。
「よかったら2人ともまたカフェ遊びにきてよ!サービスするからさ」
壱は、適当な感じだけど確かに数回、細かく頷いた。
だから私も、同じように頷いた。
ヒールの音を騒がしいモールの通路に響かせて、去っていくJD万里加。
壱の元バイト仲間。