無気力系幼なじみと甘くて危険な恋愛実験
「…壱」
幼い私の声が名前を呼んだら、なぜか中華料理屋でテーブルの向こう側にいる18歳の壱が、
『寒いし、掛けとけば』
そんなことを言うから、夢だこれ、と気づいた瞬間目が覚めた。
枕元のスマホを見ると、時刻は朝のアラーム30分前。
もうひと眠りしたいけど、したらきっとまた壱が夢にでてくる。
そんなにほいほい出てこなくても、1時間半後にマンションのドアを開いたら嫌でも実物に会うんだ。
会うんだから…。
ぐらぐらする頭で起きあがって、私は長いため息をついて。
………、夢くらい穏やかに見せてくれ………。