無気力系幼なじみと甘くて危険な恋愛実験
――こうなることさえ分かってたみたいに陰りない綺麗な、すぐ目の前にある壱の顔を、殴ろうと思えば殴れた。
そんな壱を、私が殴る?
どこぞの誰さまの考えだ。
ベッドの上、じっと私を見下ろしていた壱は、きっと黙って殴らせてくれただろう。
殴られたって、怒らなかっただろう。
でもそんな権利、私にはない、当たり前だけど。
だってそれは、幼なじみのすることじゃない。
ただの幼なじみがしていいことじゃない。
壱が私の知らないところで誰となにをしてたって、私は怒って殴って泣いたりなんてできないから、だから、だから、だから。
私の知らない壱の時間には踏みこんだりしないって決めてたじゃないか。