無気力系幼なじみと甘くて危険な恋愛実験
どれくらい時間がたったか分からない。
窓の向こうはもうすっかり真っ暗闇だ。
私の心も、今はすっかり真っ暗闇。
なんてな。
ベッドに横たわったまま自分のサムい冗談にも笑えずにいると、
「仁乃!!」
ママがドアの向こうから大声で私の名前を呼んだ。
いつ仕事から帰ってきたんだろう。
あんた方が仕組んだ幼なじみってシステムは最低最悪ですよ、欠陥だらけの仕組みですよ、そんなお門違いな悪態を心のなかでついて、無視をきめこんでいたら。
「寝てんの仁乃!?」
無遠慮にドアを開いたママが、鬼の形相で私を見下ろして言った。
「鞄学校に忘れて帰ってくるってあんた頭どうなってんの?」
「え…」
鞄…?そうだ、置いてきたまま。
ママ、なんでそんなこと知ってんの?
そう思ってむくり、起き上がったら。
「理沙子ちゃん、届けにきてくれてるけど」
瞬間、私は異世界モノの主人公並みの勢いでベッドから降り、異世界モノの主人公並みのスピードでママの横を通り過ぎた。