無気力系幼なじみと甘くて危険な恋愛実験
「危なかった本当!世界中のみなさんに顔向けできないとこだった!」
「はい?」
「ていうか、壱、私がはじめてじゃなかったわ!」
「…はいはい?」
「私のこと好き好き言っといて命とか言っといて結婚してとか言っといてたぶん指輪まで用意しといて、壱は私がはじめてじゃなかった!」
「…なにが?」
「全部だよ全部!」
小さく息を吸う。
「デートも手繋ぐのもキスも私は全部はじめてだったけど壱は全然はじめてじゃなかった!」
なんでこんな情けない。
「そら路チューくらいかますわ!」
なんでこんなに虚しくて、
「そんなんお茶の子さいさいよ!ははははは!」
なんでこんなに悲しいの。
「仁乃、さっきから号泣しながら笑うんやめて…恐いし」
玄関で立ち尽くしたまま私の支離滅裂に付き合ってくれていた理沙子の言葉で、
「え…?」
私はずっと自分が、ぼろぼろぼろぼろ泣いていたことを知った。