無気力系幼なじみと甘くて危険な恋愛実験
両手で必死に涙をぬぐいながらバカみたいに戸惑っている私に、小さくため息をついた理沙子は、私の鞄を玄関の床にそっと置いて。
ようやく少女漫画の親友みたいな顔で、私を肩に抱いてくれるから、涙はますます流れて理沙子のシャツを濡らす。
「最近、頭パンスカパンって感じだったもんね、あんた」
頭をゆっくり、とんとんとあやすように撫でてくれる理沙子の落ち着いた声が、身体に響く。
こういう時はちゃかしたりしない、優しい女め。
その優しさをもってしても涙は全然、止まらない。
「普通の少女漫画みたいにさ。これからどっか公園でも行って、あんたと相原の色々を全部聞いてあげることもできるんだけどさ」
あの夜からの、今日までの色々。
「あんたらにはたぶん、普通は通用しないから、今ここで詳しくは聞かない」
理沙子の言いたいことが分かる気がして、理沙子の肩の顔をうずめたままこくんと頷く。
「でもあんた瀕死っぽいから、これだけはってことは今言っといたら」
優しいのか優しくないのか分からない言葉に、少し笑うと鼻水が出た。