無気力系幼なじみと甘くて危険な恋愛実験
いつもなら、とんだ野次馬魂だって言ってしまえるところなのに。
ありがたく感じるのはなぜだろう。
やわらかく感じるのはなぜだろう。
そうか。
ああ、本当に身勝手で情けないな。
たぶん、心細いんだ、私。
これから自分が手放すこと、知ってるから。
気づいてぐ、と息を飲んで、急激な鼻先の痛みに耐えていたら。
「よかったよ、ヒロインが道あやまらなくて…」
新田ちゃんが呆れたように笑って言うから、私は目を見開く。
「ヒロイン…?」
耳に引っかかった言葉を復唱してみると、なんて身になじまない言葉だろう。
異世界の、か?
違うって、ここ現実だって。
「ごめんだけど仁乃ちゃんもご存じのとおり、仁乃ちゃんはほーんと普通よ、私らからしたら」
ここにきて葛藤をはじめる私に、ため息をついた新田ちゃんが言った。