無気力系幼なじみと甘くて危険な恋愛実験
そう思った瞬間、それはあまりに優しく私の頭に着地した。
「俺にはそんな健気で健全な考えなんて通用しない」
「それは同時に本当は仁乃にも通用しない」
「仁乃もそろそろ思い知ればいいのにって、思ってたよ、ずっと」
壱の落とした言葉が、大きな波紋になって静かな教室中に広がっていく。
そして壱は、眩しそうに窓の外を見やり私に背を向け、静かに窓を開けた。
待って。
その言葉は声にならない。
中庭に続くその窓枠に足をかけた壱の背中が、
「実験、終わりね」
その言葉だけ残して、セピア色の向こうへ降りた。