無気力系幼なじみと甘くて危険な恋愛実験
窓枠から足が離れた。
1階の教室から外の地面は思いのほか低くて、やっぱり壱みたいにうまく着地できなくて、私は現実でも思いきり転んでしまう。
痛いな。
中庭の地面はかろうじて土だけど。
痛いよどこもかしこも。
でも立ち上がって。
ちゃんと追いかけて。
待っててくれたでしょうずっと。
――『幼なじみ幼なじみってうるさいよ』
そう言いながらそれでも、私がたどりつくまでずっと幼なじみとして。
――『仁乃って本当、なんにも分かってないなぁ…』
そう言いながらそれでも、壱は私を待っててくれたでしょう。
だからちゃんと追いかけて。
私が泣くからほかの子が作ったきっとおいしいお弁当もクソまずって言っちゃう壱を。
私が不安がるから恋人繋ぎをやめて幼い頃と同じかたちで手を繋いでくれる壱を。
全部ちゃんと追いかけて。
――『慣れてはない。はじめてじゃないけど』
私を泣かせることを、分かっててそれでも私に嘘をつかない壱に。
私を泣かせることを、私の知らない2年前から後悔してた壱に。
それでも私と進もうとしてくれた壱に。
待ってなんて、置いてかないでなんて、言わないで。