無気力系幼なじみと甘くて危険な恋愛実験
「仁乃…鼻水すごい」
壱がカッターシャツの袖で私の鼻水をうりうりぬぐってくれる。
「水分不足で死にそうだ」
「死ぬにはまだ早い」
今ここで死んでもいいって気がする。
でもここで死んじゃったら壱はどうなっちゃうんだろうって、自分の死後の壱のことまで考えてる私末期。
ぼんやり考えて切ない胸の痛みに耐えていたら。
「死ぬ前にちゃんと結婚して」
差しだされたのは、小さな小さな赤い花。
いつのまにって思って気づく。
ははは、まったく壱らしい。
止まっていたはずの涙がにじんでまたこぼれた。
この花のために、壱はセピアを越えたんだ。
「仁乃、俺と結婚して」
私が迷いなくその赤色を受けとって頷くと、2人きっと、あの日と同じように微笑んでキスをした。
「このままだっこして帰っていい」
「…だめ」