無気力系幼なじみと甘くて危険な恋愛実験
「じゃ、明日からはじめるから」
壱はそう言って、猫みたいにすっと私のベッドから降りる。
「あ、明日からって…」
焦って私が追いかけると、壱はさっと私を振り返って。
「…段階は踏んでやるから」
いつもの飄々とした顔で、私の頭をぽん、と叩いた。
段階ってなんの段階?
実験段階?
恐くて聞けない…。
「じゃーまた明日の朝ね」
「うん。えーと…壱…?」
「なに」
「始業式そうそう…寝坊しちゃだめだよ」
なんか壱に流された気がしないでもないでもない…こともない。
釈然としない心持ちで、手を振ると。
「仁乃もね」
壱は珍しくにやり、と口元をゆがめて意地悪な顔で、笑った。