無気力系幼なじみと甘くて危険な恋愛実験
朝の壱は、1日のどの時間よりもテンションが低い。
テンションだけじゃない、体温も低く血圧も低い。
高いのはいつも身長だけだ。
「仁乃、誕生日おめでと」
これまた毎年と同じように言われる。
昨日のことがあるからプレゼントはなし。
「ありがと」
「行くかー…」
「うん」
何事もなかったように歩きだす私たち。
うーん。
なんかいい感じじゃない?
睡眠不足?全然許す。
THE・平常?それが一番。
「壱のママとパパ、大丈夫だった?」
「2人とも朝からくたばってた」
「相当呑んでたもんねぇ…。伸びてたのはうちもだけど…。娘の誕生日の朝に2日酔いでどんよりするのやめてほしいよ」
「ま、そこまでが誕生日パーティーの恒例だから」
学ランの袖から出た大きく角張っているのに細い手指で口元を覆うと、ふわわ、と壱は欠伸をした。
それはやっぱり、いつもの欠伸で。