無気力系幼なじみと甘くて危険な恋愛実験
「ちょっと、壱く…」
「この状況で壱くん呼びはまじでやめとけ」
が、と大きな手で口を押さえつけられて、息ができない!
分かった分かった、と両手を挙げたままこくこく頷くと、壱はぱ、と私の口から手を離した。
ぜえぜえ息をする私を、冷めた瞳で見下ろして囁く。
「行くよ、デート」
「どんな誘い方だ!!」
「誘ってんじゃないよ、実験」
相変わらず温度の低い静かな声で言われて、ふと思い出す。
…実験。
そういえば昨日の帰り道、次の実験とかそんなこと言ってた。
「と、りあえず、起きるからどいて…」
なんとかそう言うと、ようやく壱は無言で私の上から退いた。