無気力系幼なじみと甘くて危険な恋愛実験
着替えようとしている私の部屋から一向に出ていこうとしない壱をぐいぐい無理矢理追いだして、さっと着替えを終わらせてリビングに行くと、壱は勝手知ったる我が家のソファの上にいた。
片膝を立てて気だるげに座り、テレビをピッピとザッピングしている。
「お母さんたちは?」
冷蔵庫の水を飲みながら聞くと、
「俺んち」
ザッピングをやめた壱がテレビをブチ、と切ってソファに放り投げて言った。
休日は子供(私と壱のことだ)をほっぽって、ほとんどかかさずどっちかの家で夜までドンチャンしている大人たちにはほとほと呆れるけど、もう呆れることにも慣れている。
「顔洗ってくる」
「さっさとね」
ふわわ、欠伸をして言う壱を、じ、と睨んでみるけど、そんなの壱にはどこ吹く風。
出掛ける約束なんてしてなかったのに、勝手に人の寝込み襲って(襲われてはないが)勝手に待ってるだけのくせに、さっさとね、とはなんだよ。