無気力系幼なじみと甘くて危険な恋愛実験

見られながら口をゆすぐのが恥ずかしくて、慌てて口をタオルでぬぐいながら。


「じ、実験がデートってどういうこと」


横目に壱を見て聞くと。


「仁乃としたことないしデート。どんなもんか試そうと思って」


仁乃と?他の誰かとはあるのかい?


「…どこ、行くの?」

「とりあえずもう昼前だからご飯」


壱がパンツのポケットからスマホを出して言った。

それはいいんだけど、だからどういうお昼を食べるんだって。


この服でいいの?こんなカジュアルでいいの?


言葉にするのはなんだか気恥ずかしいので、壱に向き合って、察せよ、と、見つめてみると。

壱はじ、と見つめ返してくる。



これは、通じたな、と思う。


こういうことが、昔からよくある。

目が合って、言葉を使わずに、お互いの言いたいことが分かる。



さすが幼なじみ歴18年、と思ってもらって大いに結構です。

これは自慢。



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